肺癌
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症例
肺癌術後のテガフール・ウラシル配合剤(UFT®))による致死的な薬剤誘起性肺炎
中島 義明柴田 和男
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ジャーナル オープンアクセス

2006 年 46 巻 2 号 p. 141-144

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抄録

背景.抗癌剤による薬剤誘起性肺炎の報告は多いが,テガフール・ウラシル配合剤(以下UFT)による肺炎の報告は稀である.我々は肺癌術後のUFT内服中に,急激な経過をたどって死亡した症例を経験したので報告する.症例.72歳,男性.原発性肺扁平上皮癌にて右肺下葉切除を受けた.術後33日目よりUFT 300 mg/日の内服を始めたところ,乾性咳嗽の増加を訴え,開始18日目に発熱を伴う胸部レントゲンのスリガラス陰影を認め,緊急入院となった.入院4日目には低酸素血症が進み人工呼吸器管理となった.ステロイドを含む各種薬物療法を施行したが改善はみられず,入院48日目に死亡した.リンパ球刺激試験(DLST)はUFTのみが陽性で,UFTによる薬剤誘起性肺炎と診断した.結論.有害反応が一般に軽微と思われるUFTにおいても,慎重な観察が必要である.

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© 2006 日本肺癌学会
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